楽曲分析

英:analysis   独:Analyse
仏:analyse   伊:analisi

楽曲の構造を研究する一方法であるが、作曲学に基づいて行われる。
音そのものとしての楽曲の構造を理解することを目的としており、これによって作曲者の意図が
どのような形態において表現されているかを研究する。

その方法は、まず楽曲に対して形式上からの分析を加える。
形式は幾つかの部分が秩序だって配列されているものであるから、形式の分析においてはその
部分とそれの組み立てられている秩序関係とを見いださねばならない。

大規模にして複雑な楽曲においては基本的な幾つかの部分そのものが更に若干の、または多
数の部分から成立しているから、形式の分析は数段階にわたって行われる事となる。
形式の分析によって楽曲を形成している部分が明らかになったら、次にそれらの部分の構成を
研究する。

それぞれの部分は提示とか展開とか、再現とか、対照とか、エピソードとかいうようなさまざまな
機能を持っているから、まず部分の研究においては提示を目的とするものについて検討する。
そして、そこに含まれている主要主題を初め、それ以外の素材について摘出を行う。これらの
全素材を研究し、更にそれらについて律動的、旋律的(線的)、和声的、音型的、低音の進行等
を細かく分析してその特徴を明らかにする。

以上のような諸点を分析的に検討した後、これを結合すれば主題となり、各素材なりの性格が
明らかにされ、それは楽曲全体の意図や特徴を解明する上に重要な手がかりを与える。

多くの楽曲においては主題またはその他の素材が多かれ少なかれ全楽曲の内に展開されている
ので、主題その他を分析した後にはそれの展開について分析的研究を行う。ここは主題間の関係
やその変化、発展などが明らかにされる。

更に再現においては如何なる修飾が行われているかを検討してみなければならない。その上更に
楽器用法もいろいろ調べなければならない。

以上述べた楽曲の分析の方法は、特に構成的意図をもって書かれた楽曲について適用されるもの
であるが、その強度に差こそあれ、殆どすべての楽曲に適用される。

声楽曲においては若干の相違が見いだされる。声楽曲は歌詞をもととする音楽であるから、まず
第一に歌詞そのものが研究され、これに基づいて音楽が研究される。そしてここには主題を展開する
というような方法は器楽曲よりも遙かに少ない。

以上のように楽曲分析は純粋に音そのものに基づいて楽曲の構造、或いは構成を研究する方法で
極めて重要なものである。



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