アラビア音楽

英:Arabian music   独:arabische Musik   仏:musique arabe

   アラビア音楽はイスラム教徒の音楽の中心であるが、イスラム音楽は、東は中央アジアより
   西はアフリカ北岸のモロッコに至るまで、ペルシャ、トルコ、サウジアラビア、近東、エジプト、
   チュニスなどを含む広範囲に広がり、インド、東南アジアにまで影響を及ぼしている。

   回教創立622年以前の自然崇拝、偶像崇拝時代の音楽は、隊商の歌から出発し吟遊詩人
   や歌い女などの歌う詩に発展したが、この時既にリュートはハープを中心に栄えていたササン
   朝ペルシャ(3〜7世紀)の音楽から学ぶところが大きかった。
   楽器中、アラビア固有と思われるのはミズハール(皮を胴に張ったリュート)、ミズマール(オー
   ボー)などで、ハープなどはペルシャから、ドゥフ(タンブリン)、タブル(太鼓)などは古代オリエ
   ントから移ったものが多い。

   サラセン帝国時代の後のイスラム音楽は長い停滞期だった。
   宗教音楽としては日に5回の礼拝の時を告げるアザーンのみであったが、生活の中では音
   楽が愛好され俗楽として発達した。宮廷のハレムには職業音楽家と歌姫と吟遊詩人が不可
   欠のものだった。

   一方、イスラムの音楽を特徴づけたのは、アラビア人がペルシャから学ぶと共に、ギリシャから
   科学思想を取り入れ、そのひとつとして音楽の科学を学び取り、それを更に発展させたことで、
   バクダッドの大学をはじめ各地に音楽学者が輩出し、宮廷の後援を受けた。

   アラビア音楽がコルドバを通してヨーロッパ音楽に及ぼした影響は著しく、楽器の他にドレミ
   唱法、定量記譜法、オルガヌムの起源をアラビアに求めるファーマーの説がある。



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