クラリネット

英:clarinet   独:Klarinette
仏:clarinette   伊:clarinetto

クラリネットの歴史は比較的浅いが(ドイツのデンナー…1655〜1707…によって、フランスの
単簧木管・シャリュモーを改良して発明された)広い、多様な音域と自由な発想力のため、今日
では最も重要な木管となった。独奏、室内楽、軽音楽、管弦楽に使用され、吹奏楽では管弦楽
におけるヴァイオリンのような地位を占めている。

単簧の木管で、現在、円筒管を使用し閉管式の音振動を起こす唯一の管楽器。
変ロとイの二種が主として使われ、前者は名手の楽器といわれる華々しいもので、後者は柔ら
かな甘い音色を発する。
変ロの実音は記音より1音、イの方は3度低い。

最初の倍音は第3倍音だから音域はファゴット以外の他の木管よりも広く、熟練した奏者なら
更に数音、高音部に加えられる。

音色の多様さは特殊な音振動の原理によるもので、クラリネットの優越性を保証する重要な要
素である。

基音列はこの範囲の音に限られていた前身楽器を記念してシャリュモーと名付けられ、うつろで
鈍い、汽船の汽笛のような響きを発する。
高音域(クレーロン)はそれに反して豊かな輝かしい音を発し、両者の中間にある4音は最も弱い
中音域で、その第3倍音に当たる最高音域の響きは非常に鈍い。


構造
1.ベック
  は単簧を具える吸口部。発音体となり、楽器の音質や性能に関わる最も重要な部分。

2.俵
  ベックと管の間にある器具で、木製管の割れを防ぐとともに、調音の働きをし、外気の温度や
  奏者の息で生じる音律の狂いを調整する。

3.管
  二つに割れているのは持ち運びのためだけであるから、1本のままの物もある。
  両端の僅かな広がりを除くと完全な韻と右傾で、木またはベークライトのような化学製品を材
  料にする。金属製もあるが重く、持ち心地が悪く音も細くなるから木製ほど普及しない。
  金属管には俵は無く、サクソフォーンのようにネジの中立装置になっている。

4.鍵
  ベーム式である。ただ、基音列は12度にわたり18半音を含むから管側孔の数もそれに等しい。
  そこで、同じベーム式にしてもフルートやオーボーの配置や運指法とは異なる。

6.朝顔
  最低音の響きを強めるにすぎない。
  吹奏の際はオーボーのように構えるが、上下の唇を歯にかぶせるようにしてベックをくわえ、
  歯で直接に噛むことは固く禁じられ、それを犯すといかに巧みな奏者でも柔らかな音は得られ
  ない。
  舌の技術はオーボー、サクソフォーンに等しいが、いずれの音域でも速いタンギングが自由に
  出来るし、最低最高の音域で強弱のニュアンスを示し得る唯一の木管でもある。
  フルートのように敏捷で、ある種のトリルに制限を受ける他はアルペッジョ、レガート、スタカート
  速い分散音、全音階、半音階等に木管最高の能力を発揮する。



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