フランス音楽

英:French music  独:franzosische Musik  仏:musique francaise

フランス音楽の特性は、広い意味での印象主義的傾向、つまり何らかの外的な印象を創作の
契機とする傾向で、特に視覚的な性格が支配的であり、描写音楽、標題音楽への嗜好が強い。
この点でゲルマン的な絶対音楽的・体系的論理性と対比される。

フランスにおける芸術的音楽活動は、まず5、6世紀からと言える。
グレゴリオ聖歌の創世記に、ガリア聖歌といわれる一派が存在した。8世紀後半、ローマの統一
的典礼音楽の確立の頃には、フランスでもメッツの教会を中心としてグレゴリオ聖歌が栄え、特殊
のネウマ記譜法を発展させた。

9世紀にはリモージュの聖マルシャンの僧侶がゼクエンツの発展に寄与した。

10世紀には、フランス地方語による歌曲及びラテン語、フランス語混合の宗教的音楽劇の発生が
確認される。

12世紀以降の本格的中世音楽文化において、フランスはヨーロッパの指導的地位を占めることに
なる。多声音楽の初期には既にヒエロニムスとその他の理論家が居て、聖マルシャン寺院を中心
にこれを発展させ、12世紀中頃から13世紀初頭にかけてノートルダム楽派がモテトの多声部技
術の発展に主導的な役割を果たした。

17世紀のフランス音楽は、イタリアに成立したオペラ及び器楽音楽の影響を受けながら、ルイ13
世、14世治下のヴェルサイユ宮殿の保護の下に発展した。

18世紀前半のフランス音楽は、リュリ、ラモー等によるバレエ音楽及びフラン的国民オペラ、ゴール
ティエのリュート音楽、シャンボニエールやクープランに代表されるクラヴィサン音楽等によって、華
麗な様相を呈し、ロココ的器楽の完成が見られる。
18世紀中頃には、イタリアのオペラブッファの影響により、フランスにも軽快で演劇的な要素の強い
オペラ・コミックが派生、同時にこれに対する新たなグランド・オペラの樹立を目指して、パリのオペラ
運動は華やかに展開し、19世紀中頃までその地位は崩れない。

19世紀、セザール・フランク、サン=サーンス、続くフォーレ、ダンディ等は、真摯な資性と高遠な
理想をもって、管弦楽、室内楽、ピアノ音楽等に、新たなフランス的色彩を加え、独自性を明らかに
した。
続いて、デュパルク、ショーソン、デュカが個性的な作品を残したが、ドビュッシーによる印象派音楽
の確立は音楽史に重要な意義を持ち、続くラヴェルと共にフランスは近代音楽の最高点に立つこと
になる。

第一次大戦語の音楽の世界的混乱の時期に、フランスも六人組の運動によって過去のロマンティ
シズムや印象派に反逆した。六人組は同時代パリに活躍したストラビンスキーなどと共に現代音楽
の様式を確立した。



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