フーガ

英:fugue   独:Fuge   仏:fugue

      一つの主題が各声部或いは各楽器に定期的な規律的な模倣反復を行いつつ、
      特定の調的法則を守って出来ている楽曲である。
      主題は一つとは限らず、2つの主題(二重フーガ)や3つの主題(三重フーガ)を
      持つ場合もある。
      あらゆる対位法的技法を含んで展開するが、調的には一つの調を基盤にして
      それの関係調が、その原調を修飾しながら、大きな調的終止形を形成する。
      そして、各声部(少なくとも二声部以上)が独立し、相互に対位的に進み、
      対位法的要素が最も純粋に発揮される楽曲と言える。

      フーガは14世紀あたりからその兆しがみられたが、その後変遷を重ね17世紀に
      次第に整備されて、バッハ及びヘンデルによって開花したと言える。
      特にバッハの名は不滅である。彼は「フーガの技法」という楽曲でフーガ的技法の
      あらゆる可能性を書き尽くしている。

      フーガの旋律的要素は主題−応答−対主題(主題あるいは応答の対位的副主題)
      の3つである。
      なお、主題の終結の延長としてのコーダも旋律的要素となる。

      フーガを和声的に分析すれば、提示部−嬉遊部(挿入部とも呼ばれる)−追迫部−
      保続音部の4つがあげられる。

      提示部は主題とそれを5度或いは4度関連に模倣する応答の継次的導入と対主題
      によって形成されるが、一般に主題提示部と呼ばれる原調の提示部(主音度と属音度
      の調の間のみの交流)、副提示部と呼ばれる関係調の提示部、時には主要提示部を
      逆に示す対提示部等である。

      嬉遊部はこれらの幾つかの提示部を連結する為の部分であり、必ず転調的であり、
      手法として各旋律的要素の一部をとってそれを各種の音度に反復模倣させる。

      追迫部は、提示部及び嬉遊部が相互に展開して原調の属音度に行って主音度で
      終止させる。

      保続音そのものは主として低音に置かれる。



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