ハーモニカ

英:mouth organ   独:Harmonika
仏・伊・米:harmonica   

  ハーモニカと称する楽器は沢山ある

  1.リード・オルガン族の最小楽器。
    他の“ハーモニカ”との混同を避ける為にドイツではムントハルモニカ、イギリスではマウス・
    オーガンと呼んでいる。
    自由簧の系列を具えた小さな長方形の金属板2枚を、それぞれの弁が単独に鳴らせるよう
    に、木製の溝の両側に張り合わせてある。なお、両側の金属板を覆うカバーは共鳴器の役
    割も兼ねている。
    吹奏といっても正しくは吹吸奏で、隣同士の穴は近すぎるから交互に「吹き」と「吸い」になり
    3穴で1音しか発しない。
    吹吸の相違に応じて、自由簧の振動部は互い違いになっている。
    同位置の2列の弁は同音であるが、僅かに狂わせて調律され、その狂いによって音色が生
    まれる。
    標準楽器は21穴であるが、23穴のものも盛んに使用される。
    これを半音ずつ低くして、12平均のオクターヴ低いものをバリトン、或いはアルト・ハーモニカ
    と称する。
    なお、高級な楽器には半音階を出せるものもある。

    演奏の際は両手で包むようにして口にくわえる。両掌(りょうてのひら)は共鳴器をも兼ね、
    包み方よって音質を変化させる。
    一つの楽器で半音階を奏することは出来ないが、別の楽器を併用すれば相当に速い音階の
    レガートが自由になるし、熟練すればトリルも吹ける。
    吹き、吸いのいずれかの音列内ならば、オクターヴまでの重音は下の操作によって鳴らせる
    し、簡単な伴奏形やトレモロも舌の技術によって可能である。

    ハーモニカはパンの笛の進化したものであって、1830年頃に発明された。
    玩具のような楽器であるが、熟練すれば相当に高度な音楽も演奏出来る。
    


  2.ミュージカル・グラーセズ(英)、グラスハルモニカ(独)と称する楽器。
    17世紀の後半より知られていた一種の楽器。
    ガラスのコップを大小の順に並べて、中に入れるミズノ量を違えると、それぞれの振動条件の
    相違をきたし、濡れた指先で縁をこすれば別々の音を発する。

    グルックは1746年に36個のものを管弦楽の伴奏によって実演した。

    ベンジャミン・フランクリンは1763年にこの原理を応用し、水盤状のガラスを、大きさの順に
    上から吊して、ペダル装置で軸を回転させながら酸性の水であらかじめ濡らし、指を触れれ
    ば音が鳴るような仕組みのものを作った。
    これは当時よりハーモニカといわれて持てはやされ、ドイツやイギリスでは1820年頃まで
    使用された。
    
    モーツアルトはこの楽器の参加する小五重奏曲(1791)を書いている。



  3.グラス・グルシマー(英)、ヴィエール・アルモニカ(仏)ともいう楽器。
    ガラスの細長い棒を木琴のように配列し、コルク頭の撥2本で打ち鳴らす楽器。



  4.ホルツハルモニカ(独)、アルモニカ・ド・ボワ(仏)というのは木琴の旧称で、玩具の鉄琴を
    ハーモニカと称する国もある。なお、ネール・ハーモニカはネール・フィッドルの同義語。



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