平均律

独:wohltemperiert

    (平均律の計算法は難解ですから、ここでは分かり易く書くことにします)

    純正律という音律を正確に計算してみると、普通にいう全音にも大全音と小全音の2種類があり、
    普通にいう半音は決して全音の半分ではないことが分かる。

    例えばドーレの音程はレーミの音程よりも少し広い。そこで、もしピアノにその純正律をそのまま
    当てはめ、cーdーe を ドーレーミ に調律するならば、ハ長調曲を弾くときには素晴らしくても、そ
    のdーe を ドーレ とするニ長調曲を弾くと音が狂ってくる、ということにならざるを得ない。
    何調の曲を弾くかによって、そのたびに調律し直さなければならないということになるし、仮にそう
    出来るとしても、曲によっては途中で転調することもあるから、結局は純正律は不都合ということに
    なる。

    いろころな試みがなされた後に1700年頃から用いられだしたのが「平均律」である。
    オクターヴを12等分するのが平均律の方法である。それによって大全音と小全音の差がなくなり、
    半音がその平均化された全音のちょうど2分の1となる。
    確かに鋭い聴覚を持つ人には気になる程の狂いもできるが、平均律によってどの曲も弾けるという
    のは非常な利点である。

    とはいえ、平均律は、前もって音を決めておく楽器においてのみ生じる不可避的な調整であることを
    忘れてはならない。



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