インド音楽

英:Indian music     独:indische Musik
仏:musique de I’Inde   伊:musica indiana

  インド音楽は古い伝統を持ち現在アジア音楽の中で最も優れた音楽の一つである。
  中世の仏教音楽の遺産があり、近世に独自の発達をし、その上に地方別(特に南北)が
  著しくて一概に説明できない。

  古代
  ヴェーグ音楽時代=遺跡発掘により、ガラガラ、法螺貝(ほらがい)、太鼓、竪型ハープを
  持っていたことが判明した。
  1500年頃ヴェーグ文学が現れた。四つのヴェーグの中、サーマ・ヴェーグは讃歌集で、
  旋律は全音程ないし4度音程をもつ二つの基音を中心として、狭い音域を上下する原始的
  なものであったらしい。五段音階はこの時代の後期に現れた。

  紀元前5〜6世紀に古典サンスクリット語を確立し、音楽も進んで一オクターブを二十二不
  平均率に分かち、二十二律を七つの声(Svara)に分配する七段音階グラーマを確立した。

  中古
  仏教時代=インド音楽の開花期で、仏教の法令供養の楽舞が栄えた。
  4〜5世紀、劇檀の黄金時代が来ると劇音楽も発達し、修辞法、舞踊などと共に音楽理論
  が演劇技法の一つとして研究された。

  近世
  ヒンドスタン音楽時代=10世紀頃、イスラム教徒が仏教音楽を破壊した後、アラビア人の
  音楽楽器の影響のもとに12世紀頃から民族色豊かなヒンドスタン音楽を作りはじめた。
  イスラムの影響は北インドに強く、南インドには仏教時代の伝統が多く残った。
  アラビア人の科学的な音楽理論の刺激を受けて音楽理論書が多数書かれた(およそ100
  にのぼる)。
  最も著名なのはサルンガデーヴァ(1210〜1247)のサンギータ・ラトナーカラで、現存する
  最古のインド音楽専門書である。

  近世の状態は大体現在に受け継がれ、洋楽はあまり浸透していない。



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