ユダヤ音楽
英:Jewish music 独:Judenmusik 仏:judaique
ユダヤ音楽は、グレゴリオ聖歌を通して西洋に与えた影響と、現代におけるユダヤ民族主義の 立場の二つの意義において重要である。 ユダヤ音楽の中では宗教音楽が最も重要なものであり、古代のユダヤ寺院にはレビ人の専門 の楽師及び合唱隊があった。 楽器にはマグレアと呼ばれるオルガン楽器(10本のパイプを持ち強大な音を出した)、銀製の ラッパ、ツィルツァル(シンバル)、ネヴァル(ハープの一種)、キンノール(キターラ風のリラ)アウ ロスに似たオーボーと思われるハリス、ショーファー(牡山羊の角製)等があったが、今日に伝 わっているのはショーファーだけである。 声楽は聖書中の詩句あるいは散文による独唱・斉唱であり、普通専門の歌手が歌うが詩篇の 中の幾つかは節の切れ目毎に会衆によって、ハレルヤ或いはアーメンが歌われた。 ユダヤ教会の器楽は紀元70年のユダヤ会堂の破壊以後全く忘れ去られたが、声楽は彼等の 礼拝の中に保存され今日に及んでいる。朗唱によるコロラトゥーラ風装飾音の使用は、セムネ 系音楽に共通した要素であるが、ユダヤ音楽において特別な敬虔な表現に高められ、現在でも アヴォダー等で用いられる。 今日のユダヤ教会音楽は西洋音楽の影響を受けているが、本来のユダヤ教の音楽については イーデルゾーンが中近東のユダヤ人の間に伝わる音楽を研究した結果、グレゴリオ聖歌と酷似 していることが指摘された。 近世音楽の初頭以来ユダヤ人で西洋音楽の分野で活躍した人はロッシをはじめ多数いるが、 ユダヤ教会のために作曲することも19世紀から始まり、レヴァンドスキーやブロッホなどにより ユダヤ音楽の道が開かれた。 現代、ユダヤの民族的要素を用いた作曲家には、シェーンベルク、ミロー、バーンステイン等が あり、イスラエルの作曲家ベン・ハイム、サロモン、アヴィドム等は勿論強烈なユダヤ国民主義 の作曲家である。 |
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