コントラバス

英:doublebass   独:Kontrabass
仏:contrebasse   伊:contrabasso

   ヴァイオリン族の最低音楽器。チェロの倍よりやや小さく約2メートルであるが、大きさは非常に
   まちまちである。ヴィオール族の名残を各所にとどめている。

   胴の上が盛り上がっている辺りは他のヴァイオリン族に見られない特徴で、裏板の平らなものも
   現に使用されている。

   横板の幅は広いし、駒はチェロよりも更に高い。

   糸巻きは、特に強い弦の張力を支配するため機械ネジになっている。

   弦はヴァイオリン族の例外として4度に調律される(大きいから5度にすると運指に支障をきたす)
   第一弦は鼻声、第二弦は幅の広い豊かな音、やや粗い感じで、それぞれの差はヴァイオリンや
   チェロのように明確ではない。

   記譜は加線の乱用をさけるためオクターヴ高くして低音記号を用い、高音域ではまれにテナー
   記号を使用する。この時も実音は記音よりもオクターヴ低い。

   弓の形と長さは一定しない。普通は60p位のものをチェロと同じ持ち方で演奏する。重さの関係と
   力を入れるため特に短くしてあるから、左右の運動は頻繁である。
   旧式の弓も使用されて、持ち方を異にする。音量と強いタッチは出せるが、新しい弓は今日の要求
   にこたえて奏法の融通性に富んでいる。

   以前は立ったまま演奏したが、最近では高い椅子に腰かけてチェロのように構える。それによって
   左手に楽器を支える必要がなくなり、高いポジションの運指とポジションの移動も自由になった。

   運指法は一指とばして半音であるが、4度の弦を用いるからチェロのような音列の空白部は生じない。
   接近した音型や音階的なものなら、かなり速い動きも演奏できる。

   ハーモニックの範囲は弦楽器のうちで最も広く、第4弦では第5倍音、第3、2弦では第10倍音、第1
   弦では第12倍音まで実現出来る。人工ハーモニックは不可能である。

   トレモロは力強く、ピッツィカートは他のいかなる楽器よりも柔らかな表情と余韻を生む。

   重音はほとんど使用されず、弱音器の効果も少ない。


   この楽器の前身はヴィオローネの名称で16世紀には既に使用されていた。
   コントラバス(5弦5度)が生まれたのは17世紀の初頭であるという。
   その後オーケストラの低音部に力を添える必要から、18世紀初頭に、今日の規模と形態を有する
   4弦4度の標準が定まった。

   機械ネジの糸巻きは18世紀の中頃に装置され始めた。

   弦の数はたびたび変わり、異なったものも使用されて、3弦の楽器は20世紀初め頃まで使用されて
   いた。5弦は今日でも使用されているが、低音域を3度下のハに伸ばすことが出来るだけで音量に
   乏しく、運弓も4弦ほど自由ではない。
   4弦のまま糸巻きの装置によって度名時効果をあげうる仕掛が発明された。


   コントラバスは、高音域は力の無い単調な鼻声で、中音部以下の音も不明瞭なため独奏には適さな
   いが、合奏の低音楽器としては異常な偉力を発揮するから、今日のオーケストラでは弦楽器のみなら
   ず、あらゆる合奏の礎石として最も重要な地位を占めている。



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