マンドリン

英: mandolin

   リュート族の撥弦楽器。

   小型のマンドーラで全長は60p位。胴はイチジクを二つに割ったような形をしている。
   表板(樅材)は2面をなし、円形または楕円形の響口が一つ開いている。横板は無い。
   薄い狭い木片を幾つも横に張り合わせた半球形の裏板がそのまま表板に連なり湾曲
   の具合はリュートよりも急である。

   駒(黒檀)は非常に低くて弦との接触面は平たい。同じく平らな指板には金属製のフレ
   ットが17〜27迄付いている。

   糸倉はリュートほど反っていないが、弦の材質と張力との関係で糸巻きは機械ネジに
   なっている。

   弦の一方は胴の下端の止め金に直接結ばれていて緒止め板は無い。
   弦は8本だが同音同士4対になっているから4弦の動きをする。第1第2弦(鋼)は感傷
   的で第1弦は鋭く第2弦は温和、第3、4  弦(鋼心の胴巻)は可憐で、第2弦は甘く、
   第4弦は深い。

   奏者は椅子にかけ、右足を左足の上に組んで、その上に楽器を乗せる。右手の拇指と
   人差し指に亀甲(べっこう)のピックをつ  まんで演奏する。

   打ち下ろし(強)と打ち上げ(弱)の二種があり、前者は複弦の片方だけを鳴らすこともある。

   上下動を素早くすれば特有のトレモロが得られる。

   一弦飛んだ音への移行は自由で、3弦以上のレガートや、1弦をスタカート他弦をレガート
   にすることが出来る。

   左手の運指はヴァイオリンと似ている。ヴァイオリンに出来ない複音型も可能であるが、
   小指の使用は限定される。

   ハーモニック音は第4倍音まで、人工ハーモニックの際は右手の中指で左手のオクターヴに
   触れる。
   ただ、スタカートのみでトレモロは不可能。ピッツィカートは右中指のすくいと左手のはじきに
   より、ピックよりも柔らかい。

   18世紀にマンドーラで生まれ、2種あって上記をナポリ式と称し、もう一方をミラノ式と称し
   マンドリン・ギターとも呼ばれる。
   ミラノ式は複6弦。独奏、同族楽器との合奏に用いられる他管弦楽に用いられた例も少なく
   ないが、ナポリ式が19世紀に改良  されたため、ミラノ式は亡びてしまった。



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