ピアノ

英:piano   独:Klavier   仏:pianoforte   伊:pianoforte

ピアノフォルテ(pianoforte)の略称で、鍵盤を有する打弦楽器。

フィレンツェのクリストフィリによって1709年に発明された「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・
フォルテ(強弱音の可能なチェンバロ)」の名称で、クラヴィコードのアクションを改良し、ハープ
シコードに適用した楽器である。

やや遅れて別にドイツでも「ハンマークラヴィーア」が発明されたが、最初の頃は非常に不完
全な楽器でハープシコードに太刀打ちすることは出来なかった。

ドイツやイギリスから広まり始め、様々な改良を経て1770年頃から急速に一般化し、フランス
のエラールやプレイエルによって今日のピアノが確立された。

主な改良はアクションと1830年頃から鉄製のフレームを用い始めるようになったことで、ピアノ
フォルテの名に相応しい楽器になった。


大きさはいろいろとあるが、形態の上からグランド(平型)とアップライト(竪型)の2種に分かれる
グランドピアノは大型の物程性能も良い。
アップライトは体積を少なくするために設計されたものであるから、構造に無理があり、音質も性
能もグランドに劣る。
特に背丈の低いものをスピネットと称する。

弦は全部鋼鉄線で片仮名ニ音(へ音記号第3線)あたりから上は裸糸、それ以下は鋼の巻糸で
ある。裸糸は音量と音質を豊かにするため3弦ずつ同音に調律され、巻糸の方は各音よも2弦
ずつで、平仮名下第3間あたり以下は単弦である。

外側の箱は木製で、共鳴胴の働きをする。蓋をを開くと明るく華やかな音になり、閉めれば落ち
着いた音に変わる。内部の木枠に薄い共鳴板を張り、その上にアイアン・フレームと称する丈夫
な枠を取り付ける。

弦はフレームに張りわたされるが、交叉しているのはフレームの面積を少なくするためである。
弦の上端(平型なら鍵盤寄り)は調弦ピン(鋼鉄)とその下に平行する上駒(金属)、下端は弦止
めとその上に並ぶ駒(木製)によってフレーム内に支えられる。

奏者の指が鍵を押してから音になるまでの機械装置をアクションと称する。アクションの原理は、
鍵を押せば支柱を支点にフェルト頭のハンマーの付け根を瞬間的に突き上げて、すぐハンマー
から離れるようになっている。ハンマーは弦の上駒に近い部分を打ち鳴らし、打たれた弦の反
発と自分の重みで弦を離れるから、余韻振動を止められている(高音弦だけは余韻が短いから
ダンパーを使用しない)。アップライト・ピアノの場合は、これを横に導くための装置も必要である。

ペダルは奏者の足の位置に二つある。向かって右は伸音ペダルで、これを踏むと鍵盤を押さえて
いなくても全部の弦からダンパーが離れる。指を離しても余韻は持続するし、その音の倍音列に
相当する他の弦も共鳴するから余韻の音色が豊富になる。
左は弱音ペダルで、これを踏めば、アクションが僅かに移動して同音の3弦を打っていたハンマー
は2弦しか打たなくなるから音がやや弱くなる。
アップライトはアクションを移動しないでハンマーの打弦距離を短くするだけだから、音色とタッチが
鈍くなるばかりでグランド・ピアノのような働きをしない。



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