リチェルカーレ
伊:ricercare、 ricercata
16〜18世紀にわたって種々な器楽曲に対して用いられた名称で、その様式と目的は曖昧で 一律には規定出来ないが、時代によって次の二通りの意味を有するようである。 1.初期のリチェルカーレ=14〜16世紀にかけての声楽モテトにおいては、それ迄テノールの 声部に定旋律(カントゥス・フィルムス)が置かれ、最も重要な声部であったのに対し、次第に 最上声部の旋律が装飾されてもっtも重要視されるに至り、下声部は楽器によって演奏される ようになった。 この器楽伴奏部が独立に発達し、リチェルカーレと呼ばれるようになった。 従って主な特徴は、モテトの模倣部に一致し、数主題を引き続き模倣的に処理する点にある。 このような曲は器楽合奏やオルガン用に書かれた。 モテトの様式を有する器楽用チリェルカーレは、「歌詞のないモテト」で1450年頃から始まる。 オルガン用リチェルカーレは16世紀中頃に始まり、独特な様式と形式を有し、器楽リチェルカ ーレのように単なる「歌詞のないモテト」ではない。 最も重要な相違は、モテトにおける多数の短い重なり合った模倣に対し、オルガンリチェル カーレは、多くの小テーマが、トッカータ様式の、コロラトゥーラ風な楽器で終わる比較的長い 部分において、十分な処理を受ける点である。 2.後期のリチェルカーレは、オルガン・チリェルカーレから発達し、1550年頃アンドレア・ガブリ エリによって確立された様式で、その後200年あまり変化なしに用いられた。 その主な特徴は、単一主題の技巧的な処理や、継次的な数主題の処理であった。 18世紀には、この言葉は最も技巧的なフーガに対して用いられた。 バッハは「音楽の捧げ物」の中で、6声部のフーガに対してこの名称を用いている。 3.その他に、この言葉は16世紀中頃においては、ファンタジアと、17世紀においてはカプリッ チョと同義に用いられる場合もあった。 |
所在=音楽関連フリー素材サイト