トランペット

英:trumpet   独:Ventiltrompete
仏: trompette   伊:tromba

  有弁の高音金管楽器で、ビューグル、コルネットと殆ど等しい。
  20世紀より一般化された新しい楽器で、管弦楽、吹奏楽、軽音楽のいずれにも使用される。
  コルネットと同種の楽器で、管はコルネットよりも更に細く、吹管の皿も浅いが、より鋭い。
  光彩に満ちた音を発する。

  管の長さの相異により、ハ(1.314m)、変ロ(1.475m)、イにあるが、イは廃れて変ロと
  ハだけ使用されている。

  ハの方はきらびやかな、冴えた音を発する。音域は実音、記音共片仮名嬰ヘ〜3点ハ。
  変ロは音量が豊かで表情の変化に富む。音域は実音は片仮名ホ〜2点変ロ、記音の方は
  片仮名嬰ヘ〜3点ハとなって、元来はビューグルやコルネットのように記音の方が実音よりも
  一音高い移調楽器である。
  しかし、最近の管弦楽では実音のまま記譜し、吹奏楽でも高級な曲の場合はそれに準ずる
  ようになってきた。

  楽器を構える時の左手はピストン式ならピストン管を、回転式なら朝顔に近い管を握る。それ
  で楽器を支えながら吹管と唇の当たり具合を加減し、右手の指でピストンを操作する。尚、
  今日の有弁トランペットには以上の他、小トランペット、アルト・トランペット、バス・トランペット
  等がある。

  今日のトランペットはコルネットを改良したものである。
  19世紀の初頭にピストン式のトランペットが生まれたが、コルネットの音質の悪さは「オーケス
  トラの腕白小僧」として常に嫌われながらも、旋律楽器としての融通性や奏法の容易さはトラン
  ペットより勝っていた。
  無弁トランペットは様々あるが、低音律楽器の低音域の音はもとから良くなかった。
  ピストンは次第に音を下げて半音階を得る手段である。
  高音律の変ホ、ホ、ヘの3種に新しい装置をつけてみると、そこに生まれた半音階トランペットは
  音の冴えと高貴な輝きをやや失った代わりに豊富な音列や広い音域の面で旧式よりも優れて
  いた。しかし、高倍音を扱うから演奏は困難で、音質や強弱のニュアンスならともかく、旋律楽器
  としてのコルネットにはまだ及ばなかった。

  次のトランペットの改良は、二つ以上の楽器(トランペットとコルネット)の長所を総合する事に
  あった。
  それは、管と吹管の形を工夫しながら低倍音でもトランペット固有の音質が得られるようにする、
  その改良は19世紀末近くになされた。
  無弁と有弁の楽器を比較すると、前者は高貴な音質、強弱の広さ、音量の点で優れ、後者は
  表現力、音型に対する順応性、容易な奏法の面で旧をしのいでいる。

  現代における管弦楽は全体の音量を増しているから、個々の強さは以前ほど重要ではなくなっ
  た。
  トランペットの生命とされた音色に劣るため、新式の楽器は一部になかなか認められなかったが、
  第一次世界大戦頃より決定的に認められるようになった。



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