ヴィエール
英:hurdy-gurdy 独:Drehleier
仏:vielle 伊:lira tedesca
1.ヴィオール族の古称。ヴィオールの前身となった弓弦楽器を指す。 13世紀までは楕円形の胴を使用し、響口は胴の上部にあけられて、糸巻きは平たい糸倉の 厚みを縦に貫く。弦は5本。 2.英語でハーディー・ガーディー、ドイツ語でドレーライヤーと称する特殊な弦楽器。 ヴァイオリンやギターのような共鳴胴に数本の弦が張られている。 撥弦楽器ではあるが、弓の代わりに松脂を塗ったローラーで弦に振動を与え、弦の長さを指で 調節せず、鍵盤のキー操作によって行う。 奏者は楽器を横にして膝の上に置き、胴の下のハンドルで車を廻しながら全部の弦を同時に鳴ら す。 旋律弦は1本か2本(ユニゾン)で箱の中に収まり、他の2本か4本の弦は左手の鍵の操作に左右 されないで一音ずつのペダル音しか発しない。この主の弦だけ車から外して鳴りやませることもできる。 音域は多くて2オクターブ。非常に古い楽器で10世紀の遺物にさえ認められる。 最初の古称はオルガニストルム、ついでシンフォニア、それが訛って13世紀のフランスではシンフォ ニーとなり16世紀頃まで用いられた。 ヴィオールTが亡びてからその名称を受け継いで今日に至っている。 乞食の楽器として卑しめられ、ドイツではプウエルンライヤー(百姓のライヤー)とも言われたが、 次第に一般にも持てはやされるようになって、18世紀中頃のパリでは、ミュゼットと共に貴族階級に 大いに流行するに至った。 リュートやギターをこれに改良したものも少なくない。 その後再び大衆の楽器となり、民間の楽器としてしか演奏されなくなった。今日ではフランスの一部 に使用されるのみである。楽器の構造は十世紀前と少しも変わらない。 |
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